リゾグラフは、日本の理想科学工業が1980年に発売したデジタル孔版印刷機「リソグラフ(RISOGRAPH)」を使った印刷技法、およびその独特の風合いを指すグラフィックスタイルです。元々は学校や自治体向けの大量印刷機として普及しましたが、インクの版ズレ・かすれ・半透明な重なりが生み出す「不完全さの美学」が世界中のクリエイターに再発見され、現在もZINEカルチャーやインディーズ出版の象徴的な表現として熱狂的な人気を誇ります。
リゾグラフとは?
リゾグラフ(リソグラフ印刷)は、孔版印刷の一種であるシルクスクリーン印刷の仕組みをデジタル化した技法を使ったグラフィックスタイルです。1色ずつ独立したインクドラムで刷り重ねるため、色ごとに版を通すたびに生じる微妙な位置ズレ(版ズレ)、半水性インクの滲み、非塗工紙に吸い込まれた粒子感のあるかすれが、この印刷特有の「アナログな不完全さ」を生み出します。蛍光ピンクやコバルトブルーなど鮮やかな専用インクが重なり合うことで、2色から3色の印刷でも豊かな色の混合が生まれるのも大きな特徴です。
当初は大量印刷のコストパフォーマンスが評価された実務機器でしたが、2010年代以降、世界中のアーティストやZINE作家が「印刷の偶発性そのものをデザイン要素として活用する」表現として再評価。現在はデジタルで「リゾグラフ風」を再現するブラシやフィルターも広く流通しており、実際の印刷物にとどまらずスクリーンデザインやブランドビジュアルにも応用されています。
リソグラフ(RISOGRAPH)は、理想科学工業が1980年(昭和55年)から販売している事務用のシルクスクリーン印刷機である。1986年以降の製品はデジタル孔版印刷機となっている。
主な視覚的特徴
- 色蛍光ピンク・コバルトブルー・イエローなど鮮やかな半透明インクを重ねることで新たな色が生まれる。重なり部分の混色が配色の醍醐味
- 形単純化されたイラストや図形。版ズレによる輪郭のハミ出しや隙間が、ひとつひとつ異なる個体差を生む
- 構図1色または数色のレイヤーを重ねて構成される版画的なレイアウト。ベタ面と網点(ハーフトーンスクリーン)による階調表現
- 書体レトロな太字のサンセリフ、手書き風のラフなフォント、あるいはチープさを意図的に演出するモノスペース(等幅)フォント
- テクスチャ非塗工紙(ラフな紙)の粒子感、インクのムラ・かすれ、ドット状の網点が視覚的テクスチャとして機能する
- その他意図しない色の重なりや印刷の個体差が生む偶発性。デジタルの精密さと対極にあるDIY感あふれるアナログな風合い
配色パレット
このスタイルでよく見られる傾向のあるカラーパレットです。リゾグラフは使用するインクや紙の組み合わせによって多様な配色を含むため、あくまでも一例として実際のWebデザインやグラフィック制作の参考にお役立てください。
代表的なスタジオ・パブリッシャー
理想科学工業(RISO KAGAKU CORPORATION)
リソグラフ(RISOGRAPH)の開発元・製造メーカー。1980年に初代機を発売し、孔版印刷の仕組みをデジタル化した独自技術を確立。学校・自治体からアートの現場まで、リゾグラフ印刷の普及を支える根幹を担う。
Hato Press(ハト・プレス)
ロンドン拠点のデザインスタジオ兼パブリッシャー。ZINEや書籍のリゾグラフ印刷・出版に取り組み、2010年代以降のリゾグラフを用いたアート・出版ムーブメントの中で、代表的なプレイヤー・インフルエンサーとして知られることが多い。
このスタイルを採用したブランド・作品
- 音楽インディーズバンドのレコードジャケットやライブフライヤーでは、リゾグラフ印刷を用いた作品がDIY精神を体現する代表的な表現として、クリエイター間でよく言及される
- ブランドIKEAの限定コレクションのポスターやカタログのアートワークは、リゾグラフの質感を再現した視覚的表現や、リゾグラフ風のグラフィックを意識したデザインとして、評論やデザイン記事で語られることがある
- WebSpotifyの「Wrapped(まとめ)」キャンペーンの一部年では、網点や版ズレ風のテクスチャを用いたビジュアルが見られ、リゾグラフの質感を意識したデザインとして、デザインニュースやSNSで言及されることが多い
- ファッションCOMME des GARÇONSの一部シーズンのDMやルックブック、ポスターにおいて、孔版印刷やリゾグラフの独自の風合いを意識した印刷・デザインが採用された事例として、デザイン記事やSNSで紹介されることが多い
- ゲームインディーズゲームのプロモーション素材やファンアート用のZINEには、リゾグラフ印刷を用いた事例が多数あり、そのスタイルがインディー文化のビジュアル表現として、関連記事やSNSで結びつけて語られることが多い
AI生成プロンプト
このスタイルのビジュアルをAIで生成するためのプロンプトです。
英語版はMidjourney・Stable Diffusion向け、日本語版はGemini・Adobe Fireflyで使いやすい形式になっています。そのままコピーしてお使いください。
英語プロンプト
日本語プロンプト
Webデザインへの応用ヒント
クリエイティブスタジオやアーティストのポートフォリオ、ZINE・インディーズ書店のECサイト、カルチャーイベントの特設ページと相性が抜群のスタイルです。網点やエフェクトを画面全体に多用しすぎると文字の可読性が著しく落ちてノイズだらけの印象になるため、背景パターンやセクション装飾に範囲を絞って使うのがポイント。組み合わせるならハーフトーンやY2Kとの親和性が高いです。



